上陸拒否事由と退去強制事由の刑事罰に於いて、刑事罰に関する事由については、前者の方が後者よりも明らかに厳しい法規制となっている。「一年以上の懲役又は禁固に処せられたもの」は同一であるが、強制退去事由の方にはさらに但し書きがあり「執行猶予の言い渡しを受けた者を除く」とされており、そこにラグが生じている。
これは、思うに、上陸拒否事由をクリアーして入国してきた外国人の資格と日本における在留性に関してそのキャリアと信頼を国益面からみて担保していると推察される。しかしながら、実務的にまた現実的側面では、ある事情で本国に一時帰国する場合、通常の再入国許可では足りず、上陸特別許可の通知書付によりしか再入国が認められないというのは、非常にちぐはぐな法整備といえることになる。仮に犯罪を犯して、執行猶予が付いた場合、前記但し書きに拠り少なくとも現在所持している在留性を維持しながらの一時出国による入国を通常法制度では認めない、という事はまさに奇妙なあるいは矛盾のある立法の在り方とみざるを得ないのではなかろうか。ここの、法整備の検討は蓋し必要と思われますし、上記罰則事由のラグがあるならば、退去強制事由に当てはまらない外国人をスムーズな再入国を可能にすべきではないかと論旨したいところであります。